【AWS】WordPressを冗長化して公開する手順

【AWS】WordPressを冗長化して公開する手順 ネットワーク構成図

はじめに

ネットワーク構成図

WordPressとAWSの組み合わせのメリット

WordPressは、世界中で利用されているCMS (コンテンツ管理システム) の一つで、ブログや企業サイト、ECサイトなどさまざまなウェブサイトを構築するために広く活用されています。一方AWS (Amazon Web Services) は、クラウドコンピューティングサービスとして、豊富なサービスと高い拡張性を提供しています。

この二つを組み合わせることで得られるメリットは以下の通りです。

  1. スケーラビリティ: AWSのクラウドインフラストラクチャは、トラフィックの増減に応じてリソースをスケールすることが容易です。これにより、急なトラフィックの増加にも迅速に対応できます。
  2. 高可用性: AWSのマルチAZデプロイメントや冗長化の設定を利用することで、障害時のダウンタイムを最小限に抑えます。
  3. コスト効率: 必要なリソースだけを利用することで、過剰なコストを抑えることができます。
  4. セキュリティ: AWSは強固なセキュリティ機能を提供しており、データの保護や不正アクセスの防止が強化されます。

冗長化の重要性その目的

ウェブサイトやアプリケーションが急にダウンすると、ビジネスに大きな損失をもたらす可能性があります。特にECサイトや大規模な企業サイトの場合、1分間のダウンタイムが数千、数万円の損失につながることもあります。

冗長化とは、システムの障害を防ぐために、重要なコンポーネントを複数用意しておくことです。冗長化により、一部のコンポーネントに障害が発生しても他のコンポーネントがその役割を引き継ぐことで、サービスを継続できます。

冗長化の主な目的は以下の通りです。

  1. サービスの継続性の確保: 障害が発生してもサービスが継続して動作することを保証します。
  2. データの保護: データの喪失リスクを最小限に抑えます。
  3. 高い可用性: サービスのダウンタイムを最小限にし、ユーザー体験を向上させます。

WordPressを冗長化して公開する主なサーバ構成

AWSにWordPressをセッティングする前に、ネットワーク構成図を書きましょう。

VPC (Virtual Private Cloud)の設定:

  1. VPCを作成します。
    CIDRブロック: 10.0.0.0/16
  2. インターネットゲートウェイを作成し、上記のVPCにアタッチします。

サブネットの設定:

  1. パブリックサブネットを2つ作成します(冗長化のため)。
    Webサーバ1: CIDRブロック 10.0.10.0/24
    Webサーバ2: CIDRブロック 10.0.11.0/24

これらのサブネットは、外部からのアクセスが可能なWebサーバに使用します。

  1. プライベートサブネットを2つ作成します(冗長化のため)。
    DBサーバ(プライマリ): CIDRブロック 10.0.20.0/24
    DBサーバ(セカンダリ): CIDRブロック 10.0.21.0/24

これらのサブネットは、外部からのアクセスを制限したいデータベースサーバに使用します。

セキュリティの設定:

  1. セキュリティグループを作成します。
    Webサーバ用: HTTP, HTTPS, SSHのアクセスを許可
    DBサーバ用: サブネット内からのみのアクセスを許可

EC2とRDSの設定:

  1. EC2インスタンス(Webサーバ)をパブリックサブネットに2つ起動します。
  2. RDS(データベースサーバ)をプライベートサブネットに起動します。
    マルチAZデプロイメントを有効化して、冗長化を確保します。

WordPressのインストールと設定:

  1. EC2インスタンスにWordPressをダウンロードし、インストールします。
  2. WordPressの初期設定を行います。
    データベース接続の設定: 上記で起動したRDSのエンドポイントを指定
    テーマの選択やプラグインの設定など

この情報をもとに、AWS上でWordPressを冗長化して公開する手順を進めていきます。

AWSの基本セットアップ

AWSアカウントの作成

AWS (Amazon Web Services) は、クラウドコンピューティングサービスとして、世界中の多くの企業や個人に利用されています。WordPressをAWS上で動作させるためには、まずAWSアカウントを作りましょう。

  1. AWS公式サイトへアクセス: AWS公式サイトにアクセスし、右上の「アカウント作成」をクリックします。
  2. 詳細情報の入力: 必要な情報(メールアドレス、パスワード、AWSアカウント名など)を入力します。
  3. 連絡先情報の確認: 連絡先情報と支払い情報を入力し、確認します。
  4. 電話番号認証: 安全性を確保するため、指定した電話番号に対して認証コードが送信されます。受け取った認証コードを入力して、電話番号を認証します。
  5. サポートプランの選択: 「基本プラン」を選択することで無料でAWSを利用開始できます。より高度なサポートが必要な場合は、有料のプランを選択します。
  6. アカウントの作成完了: すべての手順を完了すると、AWSアカウントが作成されます。ログインして、AWS Management Consoleにアクセスできるようになります。

次のステップでは、先ほど作ったネットワーク構成図を元に、VPCやサブネットなど、AWSの基本的なネットワーク環境を構築します。

VPCとサブネットの概念

VPC (Virtual Private Cloud)の説明

AWSのVPCは、仮想的なプライベートネットワーク環境を作るサービスです。このプライベートネットワーク内に、EC2インスタンスやRDSなどのAWSリソースを配置します。VPCは、ユーザー専用の分離された空間であり、外部からの不正アクセスを防ぐためのセキュリティの基盤として機能します。

- CIDRブロック `10.0.0.0/16`

特徴:

  • 完全に分離: VPCはAWS内で完全に分離された環境を提供します。外部からのアクセスを制限し、内部のリソース間での通信を安全に行えます。
  • 柔軟な設定: IPアドレス範囲の選択や、サブネットの設定、ルートテーブルの設定など、多岐にわたるカスタマイズが可能です。

サブネットとその種類: パブリックとプライベート

サブネットは、VPC内のIPアドレス範囲を細かく分割したものです。このサブネットを使用して、特定のリソースを特定の場所に配置できます。

  1. パブリックサブネット:
    • 外部のインターネットと直接通信できるサブネットです。Webサーバーやロードバランサなど、外部からのアクセスが必要なリソースを配置します。
    • Webサーバ1 CIDR例: 10.0.10.0/24
    • Webサーバ2 CIDR例: 10.0.11.0/24
  2. プライベートサブネット:
    • 外部のインターネットからは直接アクセスできないサブネットです。データベースやバックエンドのアプリケーションサーバーなど、内部でのみ動作するリソースを配置します。
    • DBサーバ(プライマリ)CIDR例: 10.0.20.0/24
    • DBサーバ(セカンダリ)CIDR例: 10.0.21.0/24

サブネットの適切な設計と利用により、セキュリティの向上やリソースの効率的な管理が実現できます。

インターネットへの接続

インターネットゲートウェイとは?

インターネットゲートウェイは、VPCと外部のインターネットとの間に位置するゲートウェイです。これをVPCにアタッチすることで、VPC内のリソースがインターネットと通信できるようになります。逆に言うと、インターネットゲートウェイがなければ、VPC内のリソースは外部のインターネットと通信できません。

特徴:

  • 双方向通信: VPC内のリソースからのアウトバウンド通信、そしてインターネットからのインバウンド通信を可能にします。
  • ステートフル: 返信トラフィックは、元の要求と自動的に関連付けられ、適切なリソースにルーティングされます。

インターネットゲートウェイの作成とVPCへのアタッチ

  1. インターネットゲートウェイの作成:
    AWS管理コンソールのVPCダッシュボードにアクセスし、「インターネットゲートウェイの作成」を選択します。名前タグを付けて、「作成」をクリックします。
  2. VPCへのアタッチ:
    作成したインターネットゲートウェイを選択し、「アクション」から「VPCにアタッチ」を選択します。目的のVPCを選び、「アタッチ」をクリックします。

Elastic IPとその重要性

Elastic IPは、AWSで提供される静的なパブリックIPv4アドレスです。通常、EC2インスタンスなどのリソースには動的なパブリックIPが割り当てられますが、これはインスタンスの停止や再起動時に変わる可能性があります。Elastic IPを使用することで、固定のパブリックIPアドレスを保持でき、DNSの設定や外部からのアクセスに便利です。

特徴:

  • 再割り当て可能: Elastic IPは、一度割り当てられたリソースから解放し、別のリソースに再割り当てできます。
  • 耐障害性: インスタンスに問題が発生した場合、Elastic IPを別のインスタンスに素早く移動することで、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。

Elastic IPの取得や関連付けは、AWS管理コンソールの「Elastic IPs」セクションから行えます。ただし、不要なElastic IPを放置すると追加料金が発生するため、使用しない場合はリリースしましょう。

セキュリティの設定

セキュリティグループとは?

セキュリティグループは、AWS上で動作する仮想ファイアウォールの一種です。セキュリティグループを使用することで、特定のリソース(例:EC2インスタンスやRDSデータベース)へのトラフィックを制御できます。セキュリティグループは、インバウンド(入ってくる)トラフィックとアウトバウンド(出ていく)トラフィックのルールを設定できます。

特徴:

  • ステートフル: セキュリティグループはステートフルであり、トラフィックのリクエストと返信が自動的に関連付けられます。したがって、インバウンドルールで許可されたトラフィックに対する返信トラフィックは、特別なルールを設定しなくても自動的に許可されます。
  • デフォルトの拒否: すべてのインバウンドトラフィックはデフォルトで拒否され、アウトバウンドトラフィックはすべて許可されます。

必要なポートの設定(HTTP, HTTPS, SSHなど)

AWSのリソースへのアクセスを制御するために、セキュリティグループのルールを設定します。以下は、一般的なWebアプリケーションやデータベースの設定の例です。

  1. EC2インスタンス:
    • HTTP (80): Webサイトやアプリケーションの通常のアクセスに使用されるポートです。
    • HTTPS (443): セキュアなWebサイトやアプリケーションのアクセスに使用されるポートです。
    • SSH (22): インスタンスにセキュアに接続するためのポートです。通常、管理者や開発者が使用します。
  2. RDSインスタンス:
    • MySQLのデフォルトポート (3306): WordPress用のMySQLデータベースに接続するためのポートです。

セキュリティグループのルールは、AWS管理コンソールのVPCダッシュボードから設定できます。新しいセキュリティグループを作成するか、既存のセキュリティグループを選択して、インバウンドやアウトバウンドのルールを追加・編集します。トラフィックの種類(TCP/UDP)、ポート範囲、およびトラフィックの許可・拒否を行うIPアドレスやCIDRブロックを指定します。

WordPress環境のセットアップ

EC2インスタンスの作成

Amazon EC2 (Elastic Compute Cloud) は、AWSが提供する仮想サーバーです。ここでは、WordPressを動作させるためのEC2インスタンスの作成方法を説明します。

WordPress用のEC2インスタンスの選定

EC2インスタンスには多くのタイプがありますが、WordPressの要件を満たすためには、以下の点を考慮してインスタンスを選定する必要があります:

  1. vCPUとメモリ: 一般的なブログサイトや小規模のウェブサイトの場合、t2.microt2.smallが推奨されます。しかし、トラフィックが増加すると、より強力なインスタンスタイプへの移行を検討する必要があります。
  2. ストレージ: WordPressはファイルとデータベースの両方のストレージを必要とします。EC2インスタンスのEBSボリュームを適切に設定して、成長に対応できるようにします。

インスタンスの起動とセットアップ

  1. AWS管理コンソールにログインし、EC2ダッシュボードを開きます。
  2. 「インスタンスの起動」ボタンをクリックします。
  3. AMI (Amazon Machine Image) の選択画面で、Amazon Linux 2やUbuntuなどのお好みのLinuxディストリビューションを選択します。
  4. インスタンスタイプを選択し、次に進みます。
  5. ネットワークとサブネットを設定し、先ほど作成したVPCとパブリックサブネットを選択します。
  6. ストレージを設定します。デフォルトのEBSボリュームサイズは、必要に応じて増減できます。
  7. セキュリティグループを設定し、HTTP, HTTPS, SSHのポートを開放します。
  8. インスタンスの起動をクリックし、キーペアを選択します。新しいキーペアを作成するか、既存のキーペアを使用できます。
  9. インスタンスの起動を待ちます。起動後、公開IPアドレスを取得します。

次に、SSHを使用してインスタンスに接続し、WordPressと必要なコンポーネント(Apache, PHP, MySQLなど)をインストールします。

ssh -i "your-key-pair.pem" ec2-user@your-instance-public-ip

データベースの設定

RDSとその利点

Amazon RDS (Relational Database Service) は、AWSが提供するリレーショナルデータベースサービスです。データベースのセットアップ、運用、スケーリングを効率化するために利用されます。

RDSの主な利点:

  1. 管理の簡易化: データベースソフトウェアのインストールやメンテナンスが不要です。
  2. スケーラビリティ: 必要に応じてデータベースのサイズや性能を簡単に変更できます。
  3. バックアップとリカバリ: 自動的にデータベースのバックアップを取得し、災害復旧も容易です。
  4. 高可用性: マルチAZデプロイメントを活用して、データベースのダウンタイムを最小限に抑制できます。

RDSを使用したMySQLの設定

  1. RDSダッシュボードの開始: AWS管理コンソールからRDSダッシュボードにアクセスし、データベースの作成 をクリックします。
  2. エンジンの選択: 利用可能なデータベースエンジンの中から MySQL を選択します。
  3. 設定の詳細: インスタンスの仕様、ストレージタイプ、バージョンなどを設定します。
  4. ネットワークとセキュリティ: 作成したVPCとサブネットを選択し、適切なセキュリティグループを割り当てます。
  5. データベースの詳細: データベース名、ユーザー名、パスワードなどの基本情報を設定します。
  6. データベースの作成: すべての設定が完了したら、データベースの作成ボタンをクリックします。

データベースが利用可能になったら、エンドポイントのURLをメモし、これを使用してWordPressと接続します。

ドメインとSSLの設定

ドメインの取得と設定

Webサイトを公開する際、覚えやすく、信頼性のあるドメイン名を持つことは非常に重要です。AWSのRoute 53は、ドメイン名の登録からDNSルーティングまでを簡単に行えるサービスです。

Route 53の利用方法

  1. Route 53ダッシュボードにアクセス: AWS管理コンソールからRoute 53を選択します。
  2. ドメイン名の購入: ドメインの登録 タブを選択し、希望のドメイン名を検索します。利用可能であれば、指示に従い購入を進めます。
  3. ホストゾーンの作成: 購入したドメイン名のためのホストゾーンを作成します。これにより、ドメイン名とIPアドレスの関連付けができます。
  4. レコードセットの追加: ホストゾーン内で新しいレコードセットを作成します。ここで、Aレコードを使用してドメイン名とEC2インスタンスのIPアドレスを関連付けます。

EC2インスタンスとの関連付け

  1. EC2ダッシュボードでIPアドレスの確認: EC2インスタンスの詳細ページで、Elastic IPまたはパブリックIPをメモします。
  2. Route 53のAレコードの設定: 既に作成したホストゾーンの中で、新しいAレコードを作成します。値として先ほどメモしたIPアドレスを入力します。

これで、ドメイン名をブラウザに入力すると、指定したEC2インスタンスのWordPressサイトにアクセスできるようになります。

注意: 実際の設定変更が世界中のDNSサーバに伝播するまでには、少し時間がかかることがあります。変更後すぐに期待した動作をしない場合でも、少し待ってから再度試してみてください。

SSLの重要性と設定

セキュアソケットレイヤー(SSL)は、Webサイトとそのユーザー間の情報の暗号化と保護を提供する技術です。SSL証明書をWebサイトに適用することで、情報の漏洩や第三者による改ざんを防止できます。特に、ログイン情報や個人情報、クレジットカード情報などの機密情報を扱うサイトには必須です。

ACM(AWS Certificate Manager)の紹介

AWS Certificate Manager(ACM)は、AWSでSSL/TLS証明書を簡単に取得、管理、デプロイできるサービスです。また、証明書の更新も自動で行ってくれるため、手動での更新作業が不要です。

  1. 証明書の取得: ACMダッシュボードから「証明書の要求」をクリックし、ドメイン名を入力します。
  2. ドメインの所有権の確認: ACMは、証明書を発行する前にドメインの所有権を確認します。メールによる確認やDNSレコードを使用した確認方法が提供されます。
  3. 証明書の発行: 所有権が確認されると、ACMは証明書を発行します。この証明書は、ELBやCloudFrontなどのAWSサービスと統合して使用できます。

SSL証明書の適用方法

WordPressを実行しているEC2インスタンスにSSL証明書を適用するには、以下の手順で実施します。

  1. Elastic Load Balancing (ELB)の作成: ELBを使用して、トラフィックをEC2インスタンスにルーティングします。
  2. リスナーの設定: ELBのリスナーを設定し、HTTPS(443ポート)のトラフィックをEC2インスタンスのHTTP(80ポート)にルーティングします。
  3. ACMの証明書の関連付け: 作成したELBにACMから取得したSSL証明書を関連付けます。
  4. DNSの更新: Route 53で、ドメインのAレコードをELBのIPアドレスに更新します。

これにより、ユーザーは安全にWebサイトにアクセスでき、データの暗号化が確保されます。

WordPressのインストールと設定

WordPressは、Webサイトやブログを簡単に作成・管理できるコンテンツ管理システム (CMS) です。AWSのEC2インスタンス上でのWordPressの設定と運用について解説します。

WordPressのダウンロードとインストール手順

  1. EC2インスタンスへの接続: まず、SSHを使用して、先ほど作成したEC2インスタンスに接続します。
   ssh -i "your-key-pair.pem" ec2-user@your-ec2-instance-ip-address
  1. 必要なソフトウェアのインストール: インスタンスにApache, PHP, MySQLクライアントをインストールします。
   sudo yum install httpd php php-mysql mysql
  1. Apacheの起動: Apache Webサーバを起動し、自動起動を設定します。
   sudo service httpd start
   sudo chkconfig httpd on
  1. WordPressのダウンロード: 公式サイトから最新版のWordPressをダウンロードし、解凍します。
   wget https://wordpress.org/latest.tar.gz
   tar -xzf latest.tar.gz
  1. WordPressの設置: 解凍したファイルを、Webサーバのドキュメントルートに移動します。
   sudo cp -R wordpress/* /var/www/html/

以上で、WordPressのダウンロードとインストールが完了しました。次に、初期設定します。

初期設定(データベース接続、テーマの選択など)

  1. データベースの設定: 先ほどRDSで作成したMySQLデータベースに接続するための設定を行います。/var/www/html/wp-config.php ファイルを編集し、データベースの情報を入力します。
   define('DB_NAME', 'your-database-name');
   define('DB_USER', 'your-database-username');
   define('DB_PASSWORD', 'your-database-password');
   define('DB_HOST', 'your-rds-endpoint');
  1. ウェブブラウザでの設定: インスタンスのIPアドレスにアクセスすることで、WordPressの初期設定画面が表示されます。指示に従い、サイトのタイトル、管理者ユーザ名、パスワードなどを設定します。
  2. テーマの選択: 管理画面から、好きなテーマを選択し、適用します。また、プラグインの追加やメニューの設定など、サイトをカスタマイズできます。

以上で、WordPressのインストールと初期設定が完了しました。これにより、自分だけのWordPressサイトをAWS上で公開できます。最後に、セキュリティの設定やバックアップの設定など、運用に必要な設定を行うことを忘れないようにしましょう。

冗長化の設定とその重要性

冗長化とは、システムのダウンタイムを最小限に抑えるために、同じ機能を持つコンポーネントを複数持つことです。AWSを使用すると、簡単に冗長構成を実現でき、高可用性と耐障害性を向上させます。

負荷分散の概念とELBの設定

負荷分散は、大量のトラフィックが一つのサーバに集中するのを防ぐために、複数のサーバにトラフィックを均等に分散させる技術です。AWSでは、Elastic Load Balancing (ELB) を使用して、簡単に負荷分散を設定できます。

  1. AWS Management ConsoleからELBを選択し、「Load Balancerを作成」をクリックします。
  2. 必要な設定を行い、作成したVPCやサブネットを選択します。
  3. ターゲットグループを設定し、EC2インスタンスを関連付けます。
  4. 必要に応じて、ヘルスチェックの設定を行います。

これで、ELBを使用して、入力されるトラフィックを複数のインスタンスに均等に分散できます。

Auto Scalingとその利点

Auto Scalingは、トラフィックの増減に応じて、自動的にEC2インスタンスの数を増減させるサービスです。

  1. AWS Management ConsoleからAuto Scalingを選択し、「Auto Scaling Groupを作成」をクリックします。
  2. Launch Configurationを選択し、インスタンスの詳細設定を行います。
  3. トリガーとなるメトリクス(例: CPUの使用率)を設定し、そのメトリクスが指定した閾値を超えた場合にインスタンスの数を増やす、または減らす設定を行います。

Auto Scalingの利点は、リソースを過不足なく使用でき、コストを最適化できることです。

RDSのマルチAZデプロイメントと高可用性

RDSのマルチAZデプロイメントは、データベースの冗長化を実現する機能です。プライマリDBインスタンスとスタンバイDBインスタンスを異なる可用性ゾーンに配置し、プライマリDBがダウンした際に自動的にスタンバイDBに切り替わる仕組みです。

  1. RDSのダッシュボードから、データベースインスタンスを作成または選択します。
  2. 「Modify」をクリックし、マルチAZデプロイメントを「Yes」に設定します。

これにより、データベースの高可用性が確保できます。

以上の設定を行うことで、WordPressサイトは高トラフィックにも対応し、障害が発生しても迅速に復旧する、高可用性と耐障害性を持つシステムとなります。

まとめ

AWS上でのWordPressの冗長化は、ビジネスやブログ運営において非常に価値のあるステップとなります。今回の記事で、AWSとそのサービスを使用したWordPressの冗長化の手法を解説しました。ここでは、そのメリットと、今後の拡張や注意点について解説します。

WordPressをAWS上で冗長化するメリットの再確認

  1. 高可用性: AWSのサービスを使用することで、システムのダウンタイムを最小限に抑えることができます。
  2. スケーラビリティ: Auto Scalingを利用して、需要に応じてリソースを自動的にスケールアップ・ダウンできます。
  3. セキュリティ: AWSのセキュリティグループやSSL設定により、セキュアな環境を提供します。
  4. コスト効率: 必要なリソースのみを使用し、オーバープロビジョニングを避けることでコストを節約します。
  5. データ保護: RDSのマルチAZデプロイメントなど、データの冗長化とバックアップを容易に行えます。

今後の拡張や注意点

  1. モニタリング: AWS CloudWatchを活用して、システムの動作を常に監視し、異常やパフォーマンスの低下を早急に察知しましょう。
  2. バックアップ: 定期的にデータのバックアップを取得し、S3などのストレージサービスに保存しておきます。これにより、万が一の障害時も迅速に復旧できます。
  3. セキュリティアップデート: WordPressやプラグインのアップデートは定期的に行い、セキュリティを確保してください。
  4. コスト管理: AWSの利用料金は、使用したリソースに応じて変動します。定期的にコストを確認し、無駄なリソースは削除しましょう。

AWSは進化し続けるプラットフォームなので、常に最新の情報を取得し、最適な運用が必要です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA